2009年5月31日日曜日

Microsoftの新検索エンジンBingはやっぱり金儲け第一主義?

こちらの記事でも書いたMicrosoftの新検索エンジン、Bingについてもう少し。

Bingは以前「Kumo」(蜘蛛=web,雲=cloud)というコードネームで呼ばれていた検索エンジン。
Appleの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックもお気に入りだそうです。
確かにこの辺りの記事を読んでみると、Bingは結構使いやすそうな印象を受けます。

http://www.atmarkit.co.jp/news/200905/29/bing.html
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/05/29/23601.html
http://jp.techcrunch.com/archives/20090528bing-microsoft-prepares-for-war-with-a-revamped-search-engine-screenshots/

ポイントはこれ。
Bingでは、入力された語句の関連性に基づいて情報を探し出し、整理された形で提供する
これはMicrosoftが昨年買収したセマンティック検索Powersetの技術を使っているらしい。
この入力した内容によって最適な見せ方をするというのは確かにユーザーにとっては有り難く、先日発表されたWolfram|Alphaとも似た部分を感じます。

一方で、Bingには所々にMicrosoftの商売っぽさも見え隠れします。
例えばこの辺り。
マイクロソフトは「ショッピング」「旅行」「地域情報」「健康関連情報」という4つの分野で、この仕組みをさらに強化している。例えば、デジタルカメラの製品名を入力すると、製品情報だけでなく、評価やレビュー、オンライン店舗の価格情報までを表示、比較できる仕組みだ。
一見すると便利な機能ですが、「ショッピング」「旅行」「地域情報」「健康関連情報」という4つの分野が案外キモだったりします。

特にショッピングに関する検索は全検索の売上の80%を占めているそうで、Microsoftがここに力を入れている理由も頷けます。
日本で実施するかは分かりませんが、悪名高い(?)Cash Backも継続するとのことでどうしても広告のための検索、という感じがしてしまいます。
Cash Backも買収される前、Jellyfishの頃はかなり面白そうだったのですが、今や名前通りただのキャッシュバックになってしまったように感じます。

また「旅行」分野では買収したFarecastを組み込み、検索結果からすぐに航空会社・ホテル・レンタカーなどの予約が出来るとのこと。
これは見方を変えると、ユーザーの購買に関わる部分は全て自社の仕組みの中で完結させようという試みにも見えます。
検索というインターフェースを使いながらも美味しい部分は全部自社内で、というのはGoogleよりもかつてのYahoo!に近いのかもしれません。
日本でもこれが始まったら、口コミ系のサイトにとっては脅威になる可能性もありますね。
個人的には検索エンジンはwebを媒介するものであると思うので、その中だけで完結するものになってほしくはないなあ。

新たなインタラクティブ広告を予感させる動画

これはすごい。
フランスのEASYWEBによる動画です。
建築物や置かれた物体に、これに合わせた動画をプロジェクターで投影することで普段は動かないものに動きを加えて見せてくれます。



イメージとしては拡張現実(Augmented Reality)の丁度逆、という感じでしょうか。
広告など色々なことに使えそうです。
誰か早く日本に持って来て下さい。

情報はニテンイチリュウさんより。
http://www.nitenichiryu.org/articles/3d-projection-by-easyweb

2009年5月29日金曜日

Microsoftが検索エンジンBingを発表

買収したPowersetの技術を組み込んでいる模様。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/05/29/23601.html

Wolfram|Alphaなども出てきて、検索エンジン市場がまた熱くなってきそうですね。

現在のwebの潮流に関してはこちらもご覧下さい。
http://84dialog.blogspot.com/2009/05/3webweb.html

2009年5月24日日曜日

新聞社の赤字転落と、twitterのマネタイズ

朝日新聞が、最終赤字に転落したそうです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2009052302000086.html

それに合わせて、朝日新聞のボーナスカットも話題になっています。
http://www.j-cast.com/2009/05/23041592.html

一方で、前回のエントリでも触れたようにweb上ではリアルタイムの流れが加速。
至る所でtwitterが話題になっています。
では、新聞社はこの流れに乗ることはないのでしょうか。


日本では未だtwitterを利用している新聞社はどうやら無いようですが、
米国では、New York Timesを筆頭に新聞社がtwitter利用を始めています。
http://twitter.com/nytimes

また、これ以外でもtwitterが重要なニュースソースとして注目を集めています。
http://zen.seesaa.net/article/115394055.html
http://zen.seesaa.net/article/115410963.html

上の2つめの記事ではCNN、NYT、NPRの急速なフォロー数の伸びを追っていますが、
これは新聞社のリアルタイム発信の重要性を示しているのではないでしょうか。
そして、未だに強力なマネタイズ手段を持っていないtwitterとしても、ここがポイントとなるような気がしています。

アイデアは単純です。
新聞社はtwitterにアカウントを作成、これを記者が取材中に取材した内容をすぐに投稿することとします。
twitterとしては、このアカウントのフォローを500円/月などの形で有料とします。
twitterのフォローに対してユーザーに課金をし、これを新聞社とtwitterでレベニュー・シェアするというモデル。
プロの記者が書いた記事がリアルタイムに飛んでくるのであれば、価値はあるのではないでしょうか。

これを実行した際に問題となるのはコピペです。
有料でフォローをした人がこれをコピペして無料で公開してしまうとその人のフォローが増えるだけ。
ここに対して何らかの手を打たねばならないのがネックかなあ・・・。

3分でわかる、これまでのwebの流れ

1。
webが生まれてからというもの、web上にはだんだんと情報が増えてきました。
webに情報が増えれば増えるほど、自分の欲しい情報は見つかりにくくなります。
あるところに、これを整理しようと考えた人達が居ました。
その人達は言いました。
「良いサイトを集めてカテゴリごとに分けてあげればいんじゃね?」
彼らは良いと思ったサイトを登録して、カテゴリごとのwebの目次を作りました。
これが俗に言うディレクトリ型検索エンジン。
初期のYahoo!などがそうです。

2。
さらにweb上に情報は増え続けました。
もうこの段階になると、人手では対応し切れないほどのページがweb上には存在します。
そこに来た別の人が言いました。
「システムで自動的に情報を集めればいーじゃん。」
こうして出来たのがロボット型検索エンジン。
ロボットが自動で情報収集をし、重要だと思われる順で結果を並べます。
Googleはこの順番の並べ方を工夫し、人々から重宝されました。
そのページがどれだけ他のページからリンクされているか、という他者からの評価を使って重要度を判断したのです。

3。
またまた情報は増え続けました。
この頃になると、「重要な情報って何よ?」という議論が巻き起こりました。
そこに来たのがA~Cの3人。3人はそれぞれ言いました。
A「やっぱり重要なのは知ってる人から聞いた情報だよ。ほら、口コミとかだってそーじゃん。」
そう言ってAはソーシャル党を作りました。
B「いやいや、その話も分かるけど、重要なのは「今」の情報だよ。この瞬間を感じたい!」
Bはリアルタイム党を作りました。
C「そういう問題じゃなくね?web上のページを集める段階から変えなきゃ。webページに書いてあることの意味を機械が理解できるようになれば重要な情報が分かるっしょ。」
そしてCはセマンティック党を作りました・・・。
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かなーりざっくりですが、このソーシャル、リアルタイム、セマンティックの3つが現在の何となくのwebの流れだと思っております。
つい最近まではFacebookに代表されるソーシャル党が人々からの期待を背負っていましたが、最近はtwitterに代表されるリアルタイム党が話題です。
セマンティック党は一部の人からずっと期待されていますが、なかなか思ったようにはいかないようです。
ちなみにセマンティック党には、hakiaやMicrosoftに買収されたPowersetなどが名を連ねています。
それぞれの党は本当は厳密に分かれているわけではなく、いろんなサービスがこれら3つの考えをうまく組み合わせて使っています。
が、今回は分かりやすくするために3つに分けときました。

物語の前提になっている「情報が増え続けている」ということは、今後メディアに関連するありとあらゆる人が分かっていなければいけないことだと思います。

検索エンジンの歴史等、更に詳しいことを知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
http://japan.internet.com/busnews/20080311/8.html