2010年2月22日月曜日

「人間性」を企業が取り込む時に、twitterがなぜ役に立つのか?

一つ前の記事では、「ソーシャルメディアマーケティングは、人間性をもたらすマーケティングとして解釈すべきなのではないか」という内容を書かせて頂きました。
お陰様でtwitter経由でいろいろなリアクションを頂いたのですが、意外なことに批判意見は今のところほとんど無く、「似たようなことを考えていた」という方が多かったのが非常に印象的でした。
みんながなんとなく思っているけれど、「明確な根拠が無いから」とか「誰も言語化しないから」とかそういう理由で見過ごされがちなものって実は大事だと思っていて、その「みんながなんとなく思っている」っていうことそれ自体が時代の空気なんじゃないかとちょっと思ったりします。
さて、twitterでのレスポンスをしている中で、ひとつ書いておけば良かったと思ったことがあったので、簡単に追記。
それはタイトルにもある通り、「「人間性」を企業が取り込む時に、twitterがなぜ役に立つのか」ということです。

前のエントリで書いたように、「これからは企業でも人間性が重視される」と個人的には思っているのですが、じゃあソーシャルメディアはその手法として本当に有効なのでしょうか?
また、人間性という観点で見た場合には上記エントリで示した他のマーケティング手法と比べて、どのような点で有効なのでしょうか?
ここでは現在注目されているtwitterが一つの答えとなっているように感じたので、これを例に話を進めます。

そもそも、これまでマスプロダクトを提供するような大企業が人間性を保つことが出来なかったのは何故でしょうか。
これは前エントリにも書きましたが、企業が効率性を求めた結果であるのではないかと感じます。
人間性を出そうとすると、個人個人で対応を変えなければならないため、効率が保てなくなっていたのです。
故に企業は、マスメディアを使って一つのメッセージを大量の消費者に均一に届けることで、コミュニケーションをスケールさせていました。

ではこれが仮に、効率性と人間性の双方が両立出来るとすればどうでしょうか。
そのような方法、あるいは装置があれば、大企業でも人間性を保つマーケティング・コミュニケーションを行うことは可能であるように思います。

勿論これまででも、メールによって一人一人対応することで、デジタルでも人間性を出したコミュニケーションを行うことは可能でした。
メールマーケティングが提唱されて以来、今では多くの企業がメールを使って消費者とコミュニケーションを取っています。
しかしこの場合、メール1回のコミュニケーションで発揮される人間性は、メールの相手である1人にしか伝わりませんでした。

twitterをしている人同士のコミュニケーションではよくある例ですが、これまでメールでしていたようなやり取りを、お互いに@リプライを介してタイムライン上で行うことがあります。
場合によっては、そのやり取りを見ていた観客が会話に混じり、いつの間にか3人で会話していた、という経験がある方も多いのではないでしょうか。

企業と消費者がtwitterを使って会話する際にも全く同じことが当てはまります。
@リプライを使った、企業とある消費者との1to1のコミュニケーションはそのfollowerたちに対しても見えますから、そのレスポンスが優しく丁寧なものであれば、その人間性はほかの人達にも伝わることになります。
つまり企業がtwitterを使うことにより、1to1のコミュニケーションをスケールさせることが可能になるのです。
メールのような、閉じた1to1はそれ以上のものには成り得ません。1+1は2にしかならないのです。
しかしtwitterは、オープンな1to1を行い、これに観客が付くことで1+1が100にも1000にもなる可能性を持っています。

これがtwitterを使うことで得られる大きなメリットの一つだと思うのです。

ちなみに余談にはなりますが、効率性と人間性のバランスをうまく取るやり方は他にもあると思っていて、一つは企業の仕組みの中に人間性を組み込む、というやり方です。
例えば、いま話題になっている本に『ザッポスの奇跡』という本があります。
これは、米Amazonが買収した靴のEコマース“ザッポス”が成功した理由を、その企業文化とそこから生まれるサービスに求めて論じた本でした。
同様に日本企業では、過剰とも思えるくらい親切心に溢れた修理サービスをする任天堂が、「神対応」と呼ばれ話題となるような例もあります。

この企業における人間性の強化、というのは今後一つのテーマと成り得るのではないかと感じております。
僕もまだ全然答えは出ていないので、何かご意見や思うところある方いらっしゃれば、コメント欄やtwitterでお気軽に話しかけて下さると嬉しいです。

2 件のコメント:

  1. 興味深く拝読させていただきました。コメントですが、ツイッターでの会話も、ブランドパーソナリティに基づいた対応が求められてくるとも考えられますが、一担当者がブランドパーソナリティを代表することは難しいと企業側が考えると、コールセンターや客相(お客様相談窓口)のように、企業に雇われた一社員としての立ち位置での会話にならないでしょうか?

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  2. コメント有難うございます!
    おっしゃっている旨、非常に理解出来ます。

    私もtwitterはコールセンター等の顧客対応に近いと思います。
    ただ私個人としてはtwitterがコールセンター化することにさほど懸念は無く、コールセンターや相談窓口のようであっても人間性を発揮するのは充分可能であると思っています。
    人間性を発揮するためには必ずしも軟式アカウントだけが答えではありません。
    コールセンターでも良い対応をされれば消費者にとっては良いイメージが付きますし、それは一つの方法としてアリなのではないでしょうか。

    むしろ今後は現在コールセンター業務をやっているような企業がtwitterマーケティングに参入し、クライアント企業から業務を受注するようになるのではないでしょうか。

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